肺小細胞癌の化学療法後に発症した大腸憩室炎の1例
患者は65歳,男性.肺小細胞癌と癌性疼痛に対して抗悪性腫瘍剤とオキシコドンによる治療を行っていた.抗悪性腫瘍剤の最終投与から17日後に腹痛が出現した.体温は39.7℃で,右下腹部に圧痛と反跳疼痛を認めた.白血球数は3,000/μl,CRPは1.53mg/dlであった.腹部CTで大腸憩室炎と診断し,保存的治療を開始した.腹膜刺激症状は改善したが,右下腹部が圧痛持続し,血液生化学検査で炎症反応が遷延するため,入院後第5病日にCTを施行すると盲腸周囲膿瘍を形成していた.開腹術を行い,大腸憩室炎穿孔による盲腸周囲膿瘍と診断し,回盲部切除術を行った.術後第26病日に呼吸器内科に転科し,化学療法を再開した...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 145 - 149 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.145 |
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Summary: | 患者は65歳,男性.肺小細胞癌と癌性疼痛に対して抗悪性腫瘍剤とオキシコドンによる治療を行っていた.抗悪性腫瘍剤の最終投与から17日後に腹痛が出現した.体温は39.7℃で,右下腹部に圧痛と反跳疼痛を認めた.白血球数は3,000/μl,CRPは1.53mg/dlであった.腹部CTで大腸憩室炎と診断し,保存的治療を開始した.腹膜刺激症状は改善したが,右下腹部が圧痛持続し,血液生化学検査で炎症反応が遷延するため,入院後第5病日にCTを施行すると盲腸周囲膿瘍を形成していた.開腹術を行い,大腸憩室炎穿孔による盲腸周囲膿瘍と診断し,回盲部切除術を行った.術後第26病日に呼吸器内科に転科し,化学療法を再開したが,術後7カ月で肺癌により死亡した.悪性腫瘍の化学療法時には明らかな骨髄抑制はなくとも大腸憩室炎に対して保存的治療が無効なことがあるため,臨床症状,検査所見から期を逸することなく外科的治療を考慮すべきである. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.145 |