包丁による顔面外傷の1例

症例は67歳,男性。統合失調症を患う息子に顔面を包丁で刺されたことによる顔面外傷にて,3次救急搬送となった。包丁は左頰部から上顎洞,鼻腔内を穿通し,対側の上顎洞にまで達していた。CT画像上,包丁は左顎動脈およびその分枝である下行咽頭動脈や蝶口蓋動脈を損傷している可能性があったため,摘出する前に鼻腔内からの止血が困難な状況に備えて,左頸部の外切開を行い,上甲状腺動脈の直上で外頸動脈の結紮の準備をした。しかし,鼻腔内でガーゼによる圧迫止血にて包丁は抜去できた。本症例では奇跡的にも重大な血管や神経の損傷を認めず,軽快した。われわれは本症例の臨床像,治療経過を文献的考察を加え,報告する。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 24; no. 1; pp. 109 - 113
Main Authors 川田, 往嗣, 甲能, 直幸, 濱之上, 泰裕, 松本, 祐磨, 中村, 健大, 横井, 秀格
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2014
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.24.109

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Summary:症例は67歳,男性。統合失調症を患う息子に顔面を包丁で刺されたことによる顔面外傷にて,3次救急搬送となった。包丁は左頰部から上顎洞,鼻腔内を穿通し,対側の上顎洞にまで達していた。CT画像上,包丁は左顎動脈およびその分枝である下行咽頭動脈や蝶口蓋動脈を損傷している可能性があったため,摘出する前に鼻腔内からの止血が困難な状況に備えて,左頸部の外切開を行い,上甲状腺動脈の直上で外頸動脈の結紮の準備をした。しかし,鼻腔内でガーゼによる圧迫止血にて包丁は抜去できた。本症例では奇跡的にも重大な血管や神経の損傷を認めず,軽快した。われわれは本症例の臨床像,治療経過を文献的考察を加え,報告する。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.24.109