内視鏡下経鼻的下垂体手術 — 当科における方法と工夫

近年, 下垂体部腫瘍手術においては内視鏡手術が主流となっている。筑波大学でも平成21年11月より耳鼻咽喉科医と脳神経外科医による内視鏡下経鼻的下垂体手術を開始した。手術方法は両側鼻腔アプローチでの4 hands surgeryにて行った。メリットとしては左右の鼻腔から内視鏡および手術器具を挿入することが可能なため器具が干渉することが少ないことが挙げられる。手術中の耳鼻咽喉科医の役割は手術操作野の確保であるが, 広い手術操作野を作るためには, 鼻, 副鼻腔の構造はより開放および切除したい。しかし, 術後の鼻, 副鼻腔機能維持の観点からは, できるだけ鼻腔内の侵襲は少ないほうがよい。そこで我々は術...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 50; no. 1; pp. 31 - 34
Main Authors 原, 晃, 星野, 朝文, 村下, 秀和, 田渕, 経司
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本鼻科学会 2011
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.50.31

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Summary:近年, 下垂体部腫瘍手術においては内視鏡手術が主流となっている。筑波大学でも平成21年11月より耳鼻咽喉科医と脳神経外科医による内視鏡下経鼻的下垂体手術を開始した。手術方法は両側鼻腔アプローチでの4 hands surgeryにて行った。メリットとしては左右の鼻腔から内視鏡および手術器具を挿入することが可能なため器具が干渉することが少ないことが挙げられる。手術中の耳鼻咽喉科医の役割は手術操作野の確保であるが, 広い手術操作野を作るためには, 鼻, 副鼻腔の構造はより開放および切除したい。しかし, 術後の鼻, 副鼻腔機能維持の観点からは, できるだけ鼻腔内の侵襲は少ないほうがよい。そこで我々は術前CTを使用し, オノディ蜂巣の存在を認めた症例にのみ上鼻甲介の部分切除と後部篩骨洞の開放を行った。58.8%の症例で上鼻甲介の温存が可能であった。副鼻腔発達のバリエーションにより鼻, 副鼻腔構造の開放および切除範囲を決定することが重要と考えた。鼻, 副鼻腔内の内視鏡操作は耳鼻咽喉科医の専門分野であり, 耳鼻咽喉科医が脳神経外科医と連携し積極的に手術に参加するべきと考える。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.50.31