レンバチニブ投与中の二峰性の疲労感に対してカルニチン補充療法が有用であった進行肝細胞癌の1例
症例は55歳女性.進行肝細胞癌に対してレンバチニブ8 mg/日の投与を開始した.投与開始時,疲労感はグレード0,血中アシルカルニチン/フリーカルニチン(AC/FC)比は0.158であった.投与8週目にグレード2の疲労感が出現し,AC/FC比は0.233に上昇した.レボカルニチン製剤1500 mg/日開始となり,4週後に疲労感はグレード0に改善した.その7カ月後バルプロ酸が開始となり,その4週後にはグレード2の疲労感の増悪あり,AC/FC比は0.432に上昇した.レボカルニチン製剤3000 mg/日に増量し,翌月には疲労感はグレード1に改善した.その後ソラフェニブに薬剤変更するまでの計約12カ月...
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Published in | 肝臓 Vol. 61; no. 12; pp. 715 - 721 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.12.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.61.715 |
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Summary: | 症例は55歳女性.進行肝細胞癌に対してレンバチニブ8 mg/日の投与を開始した.投与開始時,疲労感はグレード0,血中アシルカルニチン/フリーカルニチン(AC/FC)比は0.158であった.投与8週目にグレード2の疲労感が出現し,AC/FC比は0.233に上昇した.レボカルニチン製剤1500 mg/日開始となり,4週後に疲労感はグレード0に改善した.その7カ月後バルプロ酸が開始となり,その4週後にはグレード2の疲労感の増悪あり,AC/FC比は0.432に上昇した.レボカルニチン製剤3000 mg/日に増量し,翌月には疲労感はグレード1に改善した.その後ソラフェニブに薬剤変更するまでの計約12カ月間レンバチニブ初期投与量継続が可能であった.レンバチニブ起因性の疲労感はカルニチン欠乏症が関与している可能性があること,その際にはカルニチン補充療法が有用であることが示唆された. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.61.715 |