CTにて術前診断した魚骨による胃穿孔の1例

症例は62歳,女性.上腹部痛と発熱を主訴に来院した.腹部X線では明らかなfree airを認めなかったが,腹部CTにて胃前庭部前壁を貫通して延びる約3cmの線状のhigh densityの異物と周囲のfree airを認め,魚骨による胃穿孔と考え,緊急手術を行った.開腹すると胃前庭部前壁を索状異物が貫いており,異物を除去,穿孔部に小網を充填した.異物は約3.5cmの中空の索状異物で,問診と肉眼的所見より魚骨と考えられた.われわれは2001年から2010年の10年間の魚骨による消化管穿孔・穿通症例446例を解析した.胃穿孔は35例(7.8%)と少なかった.近年はCTにより術前正診率が向上している...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 10; pp. 2535 - 2539
Main Authors 高橋, 信博, 岡本, 譲二, 小熊, 潤也, 清水, 壮一, 岩崎, 靖士, 高橋, 伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2535

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Summary:症例は62歳,女性.上腹部痛と発熱を主訴に来院した.腹部X線では明らかなfree airを認めなかったが,腹部CTにて胃前庭部前壁を貫通して延びる約3cmの線状のhigh densityの異物と周囲のfree airを認め,魚骨による胃穿孔と考え,緊急手術を行った.開腹すると胃前庭部前壁を索状異物が貫いており,異物を除去,穿孔部に小網を充填した.異物は約3.5cmの中空の索状異物で,問診と肉眼的所見より魚骨と考えられた.われわれは2001年から2010年の10年間の魚骨による消化管穿孔・穿通症例446例を解析した.胃穿孔は35例(7.8%)と少なかった.近年はCTにより術前正診率が向上している.今回われわれは比較的まれな魚骨による胃穿孔の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2535