びまん性汎細気管支炎の気管支肺胞洗浄液中エラスターゼ活性についての検討

びまん性汎細気管支炎 (以下DPB) 16例, 慢性気管支炎 (以下CB) 12例, 対照のSmoker群9例, Nonsmoker群11例に気管支肺胞洗浄 (以下BAL) を行い, BAL液中のエラスタービ活性およびα1アンチトリプシン (以下α1AT) 量について検討した.DPBでは16例中11例と高率にエラスターゼ活性を認めたのに対し, CBでは12例中2例に活性を認めたのみで, Smoker群, Nonsmoker群では活性は認めなかった.DPBではα1AT量も増加していたが, α1ATの阻害能を越えるエラスターゼ負荷がかかっており, プロテアーゼ・アンチプロテアーゼインバランスが存在...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 672 - 680
Main Authors 古賀, 英之, 矢野, 敬文, 市川, 洋一郎, 二宮, 英昭, 大泉, 耕太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.06.1991
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.672

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Summary:びまん性汎細気管支炎 (以下DPB) 16例, 慢性気管支炎 (以下CB) 12例, 対照のSmoker群9例, Nonsmoker群11例に気管支肺胞洗浄 (以下BAL) を行い, BAL液中のエラスタービ活性およびα1アンチトリプシン (以下α1AT) 量について検討した.DPBでは16例中11例と高率にエラスターゼ活性を認めたのに対し, CBでは12例中2例に活性を認めたのみで, Smoker群, Nonsmoker群では活性は認めなかった.DPBではα1AT量も増加していたが, α1ATの阻害能を越えるエラスターゼ負荷がかかっており, プロテアーゼ・アンチプロテアーゼインバランスが存在すると考えられた.エラスターゼ活性はBAL液中好中球比率と相関し, DFPで抑制されたがEDTAでは抑制されず, 大部分が好中球由来のセリンプロテアーゼと考えられた.また, エリスロマイシン (以下EM) 少量長期投与後にエラスターゼ活性を測定し得たEM有効例5例では, 4例で活性の消失, 1例で著明な低下が見られた.エラスターゼは肺および気道組織に傷害を与えることが報告されており, 今回の検討からDPBの病変形成, 進行に好中球エラスターゼの作用が関与すること, およびEMのDPBに対する効果が好中球エラスターゼ荷の軽減によるものであることが示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.672