鼻腔より穿通した頭蓋内異物の1例

耳鼻科外来診療における異物症例は,新患総数のおよそ0.5-2%程度である。その中でも極めて稀な鼻腔を介した頭蓋内異物の一症例を経験したので報告する。 症例は39歳男性。樹脂で繋げた自作綿棒で鼻腔清掃の後,綿棒先端の遺失に気づき前医受診。左嗅裂部に異物認めるも摘出困難で当科紹介。初診時鼻腔内に異物を認めず,CT施行。異物の嗅裂部穿破,頭蓋内穿通を認めたため,開頭での異物摘出施行。合併症なく術後10日で退院となった。 頭蓋内穿通症例では髄液漏,感染の合併が高頻度であるため,異物を認めても画像診断にて損傷を評価する前の安易な抜去は危険である。早期手術による摘出が必要であるが,脳神経外科との綿密な連携...

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Published in頭頸部外科 Vol. 32; no. 1; pp. 67 - 71
Main Authors 泉本, 彩, 小宅, 功一郎, 野垣, 岳稔, 郡司, 寛之, 小林, 斉, 池谷, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2022
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.32.67

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Summary:耳鼻科外来診療における異物症例は,新患総数のおよそ0.5-2%程度である。その中でも極めて稀な鼻腔を介した頭蓋内異物の一症例を経験したので報告する。 症例は39歳男性。樹脂で繋げた自作綿棒で鼻腔清掃の後,綿棒先端の遺失に気づき前医受診。左嗅裂部に異物認めるも摘出困難で当科紹介。初診時鼻腔内に異物を認めず,CT施行。異物の嗅裂部穿破,頭蓋内穿通を認めたため,開頭での異物摘出施行。合併症なく術後10日で退院となった。 頭蓋内穿通症例では髄液漏,感染の合併が高頻度であるため,異物を認めても画像診断にて損傷を評価する前の安易な抜去は危険である。早期手術による摘出が必要であるが,脳神経外科との綿密な連携が重要である。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.32.67