人工肛門部に発生した炎症性偽腫瘍の1例

71歳,男性.平成6年6月に直腸癌のため腹会陰式直腸切断術を受けている.術後再発徴候は無く,定期検診を続けていた.平成17年7月頃より人工肛門部からの出血が度々認められ,平成18年4月には,同部位に顆粒状の粘膜異常を伴う1.5cm大の粘膜下腫瘤を認めるようになったため,平成18年5月に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的診断では粘膜下に高度の炎症細胞浸潤を認め,結節状の腫瘤を形成していた.腫瘍性変化は認めず,炎症性偽腫瘍と診断した.直腸癌術後から隔日で洗腸を続けていたことが,炎症性偽腫瘍の原因になったと推察された.大腸原発の炎症性偽腫瘍では稀であり,人工肛門部での発症例はこれまでに報告がない....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 798 - 801
Main Authors 間遠, 一成, 増田, 英樹, 間崎, 武郎, 石井, 敬基, 青木, 信彦, 逸見, 明博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:71歳,男性.平成6年6月に直腸癌のため腹会陰式直腸切断術を受けている.術後再発徴候は無く,定期検診を続けていた.平成17年7月頃より人工肛門部からの出血が度々認められ,平成18年4月には,同部位に顆粒状の粘膜異常を伴う1.5cm大の粘膜下腫瘤を認めるようになったため,平成18年5月に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的診断では粘膜下に高度の炎症細胞浸潤を認め,結節状の腫瘤を形成していた.腫瘍性変化は認めず,炎症性偽腫瘍と診断した.直腸癌術後から隔日で洗腸を続けていたことが,炎症性偽腫瘍の原因になったと推察された.大腸原発の炎症性偽腫瘍では稀であり,人工肛門部での発症例はこれまでに報告がない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.798