肺切除後急性期における肺動脈断端血栓に関する検討

肺動脈血栓は深部静脈血栓症に伴う肺血栓塞栓症が広く知られているが,肺切除後には切離した肺動脈断端に血栓を認めることがある.しかし肺動脈断端血栓に関する報告は少なく不明な点が多く,本研究では肺切除後の肺動脈断端の血栓形成に関するリスク因子の検討を行った.2019年12月から2021年12月までに区域切除を含む解剖学的肺切除を実施し術後急性期に造影CTを撮影した連続58例を対象に後方視的に解析を行った.肺動脈血栓は10例(17%)に確認され,そのうち肺動脈断端血栓が9例で深部静脈血栓に伴う多発肺血栓塞栓症は1例であった.切離された肺動脈は122本で断端血栓を確認した9本の肺動脈の全てが自動縫合器に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 7; pp. 735 - 740
Main Authors 戸田, 省吾, 常塚, 啓彰, 本田, 和暉, 谷口, 雄基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.735

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Summary:肺動脈血栓は深部静脈血栓症に伴う肺血栓塞栓症が広く知られているが,肺切除後には切離した肺動脈断端に血栓を認めることがある.しかし肺動脈断端血栓に関する報告は少なく不明な点が多く,本研究では肺切除後の肺動脈断端の血栓形成に関するリスク因子の検討を行った.2019年12月から2021年12月までに区域切除を含む解剖学的肺切除を実施し術後急性期に造影CTを撮影した連続58例を対象に後方視的に解析を行った.肺動脈血栓は10例(17%)に確認され,そのうち肺動脈断端血栓が9例で深部静脈血栓に伴う多発肺血栓塞栓症は1例であった.切離された肺動脈は122本で断端血栓を確認した9本の肺動脈の全てが自動縫合器によって切離され断端が有意に長い結果であった.本研究では術後急性期に肺動脈断端の血栓形成が確認され,肺動脈の断端距離が血栓のリスク因子になる可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.735