血液透析患者とHCV感染

輸血を経験する機会が多い血液透析患者の血中HCV抗体陽性率を検討するため, 1990年2月から5月の間に広島県内の透析専門の5施設の透析患者393例 (平均透析期間: 79.3ヵ月) のHCV抗体をELISA法でスクリーニングし, RIBA法で確認した. 1. 血液透析患者のHCV抗体陽性率 (393例中70例: 17.8%) は, 健常者 (510例中3例: 0.6%) に比べて有意に高かった. 2. 透析患者のHCV抗体陽性率は透析期間並びに輸血量の増加と共に高くなった. しかし, 輸血歴の無い透析患者でも抗体陽性率は87例中8例 (9.2%) であり, 健常者の陽性率0.6%に比べて有意...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 66 - 69
Main Authors 甲田, 徹三, 田村, 偉久夫, 市村, 宏, 栗村, 統
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.01.1992
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Summary:輸血を経験する機会が多い血液透析患者の血中HCV抗体陽性率を検討するため, 1990年2月から5月の間に広島県内の透析専門の5施設の透析患者393例 (平均透析期間: 79.3ヵ月) のHCV抗体をELISA法でスクリーニングし, RIBA法で確認した. 1. 血液透析患者のHCV抗体陽性率 (393例中70例: 17.8%) は, 健常者 (510例中3例: 0.6%) に比べて有意に高かった. 2. 透析患者のHCV抗体陽性率は透析期間並びに輸血量の増加と共に高くなった. しかし, 輸血歴の無い透析患者でも抗体陽性率は87例中8例 (9.2%) であり, 健常者の陽性率0.6%に比べて有意に高いことから輸血以外のHCV感染経路の存在が考えられた. 3. ALT値の上昇とともにHCV抗体陽性率が上昇することからHCVは肝障害を惹起させるウイルスである可能性が示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.66