コイル塞栓術後の脳血管撮影中に脳梗塞を発症したヘパリン起因性血小板減少症の1例
症例は70歳女性.左内頚動脈の解離性動脈瘤によるSAHに対してコイル塞栓術を施行した.第7病日に血管攣縮とコイルコンパクションの精査を目的にヘパリンを使用して脳血管撮影を施行,明らかな異常はなかったが検査終了直前に右片麻痺と失語症,意識障害を認めた.直後の頭部MRIでは両側大脳半球の分水嶺領域と左小脳半球に新鮮梗塞を認めた.第9病日の採血で血小板数の著明な減少を認め,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia: HIT)を疑い4T’s scoreを計算すると8点満点であったためHITと臨床的に診断しHIT抗体を測定,後日,陽性が判明した.本症例...
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Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 3; pp. 158 - 164 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2025
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 症例は70歳女性.左内頚動脈の解離性動脈瘤によるSAHに対してコイル塞栓術を施行した.第7病日に血管攣縮とコイルコンパクションの精査を目的にヘパリンを使用して脳血管撮影を施行,明らかな異常はなかったが検査終了直前に右片麻痺と失語症,意識障害を認めた.直後の頭部MRIでは両側大脳半球の分水嶺領域と左小脳半球に新鮮梗塞を認めた.第9病日の採血で血小板数の著明な減少を認め,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia: HIT)を疑い4T’s scoreを計算すると8点満点であったためHITと臨床的に診断しHIT抗体を測定,後日,陽性が判明した.本症例はコイル塞栓術で使用したヘパリンで感作して生じた急速発症型HITにより発症した脳梗塞と考えられた.ヘパリンを使用する脳血管内治療や脳血管撮影ではHITを念頭に置き治療にあたることが重要と考えられる. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11286 |