部分肺静脈還流異常を伴い食道囊胞に交通した先天性気管支閉鎖症の1手術例

症例は19歳,男性.咳嗽と発熱から肺炎が疑われ抗生物質で症状は改善したが,1週間後の健診で右肺門の異常影を指摘され当院を紹介された.胸部CTで右B1と中枢気管支との連続性が確認できず,途絶したB1根部は気管分岐部背側に存在する4.8 × 3.8 cmで内部にniveauを伴う囊胞性病変と交通していた.また肺静脈V1+2+3は上大静脈に流入しており,縦隔囊胞と部分肺静脈還流異常を合併した気管支閉鎖症と診断した.気管支閉鎖症が原因と考えられる肺炎を繰り返していたため,右上葉と縦隔囊胞を一塊に摘出した.摘出検体では縦隔囊胞と気管支の交通を確認し,囊胞は病理組織学的に食道囊胞と診断した.部分肺静脈還流...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 511 - 516
Main Authors 大竹, 宗太郎, 福冨, 寿典, 小山, 孝彦, 加藤, 良一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.511

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Summary:症例は19歳,男性.咳嗽と発熱から肺炎が疑われ抗生物質で症状は改善したが,1週間後の健診で右肺門の異常影を指摘され当院を紹介された.胸部CTで右B1と中枢気管支との連続性が確認できず,途絶したB1根部は気管分岐部背側に存在する4.8 × 3.8 cmで内部にniveauを伴う囊胞性病変と交通していた.また肺静脈V1+2+3は上大静脈に流入しており,縦隔囊胞と部分肺静脈還流異常を合併した気管支閉鎖症と診断した.気管支閉鎖症が原因と考えられる肺炎を繰り返していたため,右上葉と縦隔囊胞を一塊に摘出した.摘出検体では縦隔囊胞と気管支の交通を確認し,囊胞は病理組織学的に食道囊胞と診断した.部分肺静脈還流異常を伴い食道囊胞に交通した先天性気管支閉鎖症の稀な1手術例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.511