瘤内に血栓を認めた奇静脈瘤の1例

症例は77歳女性.胸部単純X線で異常陰影を指摘され当院に紹介となった.胸部造影CTで気管分岐部背側に25 mmの結節影を認め,奇静脈との連続性や上大静脈,奇静脈と同程度の造影効果を示すことから奇静脈瘤と診断した.胸腔鏡下に静脈瘤摘出術を施行した.まず瘤内血栓による肺血栓塞栓症のリスクを考慮し,奇静脈瘤中枢側を先行して剥離,切離した.病理検査では,壁の菲薄化と肥厚部が混在した囊状拡張を呈する静脈を認め,静脈瘤内の一部に器質化血栓と新鮮血栓が確認された.術前の胸部造影CTでは血栓を指摘できず,無症状の症例であっても早期の手術施行および術中は中枢の処理を先行することが望ましいと考えられた....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 152 - 157
Main Authors 堀本, かんな, 片岡, 瑛子, 元石, 充, 澤井, 聡, 一瀬, 増太郎, 花岡, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.152

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Summary:症例は77歳女性.胸部単純X線で異常陰影を指摘され当院に紹介となった.胸部造影CTで気管分岐部背側に25 mmの結節影を認め,奇静脈との連続性や上大静脈,奇静脈と同程度の造影効果を示すことから奇静脈瘤と診断した.胸腔鏡下に静脈瘤摘出術を施行した.まず瘤内血栓による肺血栓塞栓症のリスクを考慮し,奇静脈瘤中枢側を先行して剥離,切離した.病理検査では,壁の菲薄化と肥厚部が混在した囊状拡張を呈する静脈を認め,静脈瘤内の一部に器質化血栓と新鮮血栓が確認された.術前の胸部造影CTでは血栓を指摘できず,無症状の症例であっても早期の手術施行および術中は中枢の処理を先行することが望ましいと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.152