スペイン・インフルエンザと生命保険購買行動 死亡率上昇の意味すること

「1. はじめに」 日本では大正期にスペイン・インフルエンザ(スペイン風邪)が大流行した. 国内47道府県で延べ患者数23,804,673人, 死亡者数388,727人とされる. 1920年の国勢調査の国内人口は5600万人弱である. 単純計算すれば, この流行で国民の4割以上が罹患し, 1000人中7人弱が死亡したことになる. 国民生活において, 何らかの行動変容があっても不思議ではない. 一方, このような時期であるにもかかわらず国内の生命保険市場は拡大し, 内国生命保険会社(以下「生保会社」)の営業成績は向上していた. 所得, インフレ率などを生命保険需要動向の予測変数であるとする先行研...

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Published in行動計量学 Vol. 47; no. 2; pp. 77 - 88
Main Author 福地, 幸文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 2020
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ISSN0385-5481
1880-4705
DOI10.2333/jbhmk.47.77

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Summary:「1. はじめに」 日本では大正期にスペイン・インフルエンザ(スペイン風邪)が大流行した. 国内47道府県で延べ患者数23,804,673人, 死亡者数388,727人とされる. 1920年の国勢調査の国内人口は5600万人弱である. 単純計算すれば, この流行で国民の4割以上が罹患し, 1000人中7人弱が死亡したことになる. 国民生活において, 何らかの行動変容があっても不思議ではない. 一方, このような時期であるにもかかわらず国内の生命保険市場は拡大し, 内国生命保険会社(以下「生保会社」)の営業成績は向上していた. 所得, インフレ率などを生命保険需要動向の予測変数であるとする先行研究は多い. 当時の日本経済が第一次世界大戦による大戦景気に湧いていたことを踏まえると, この時期の生命保険市場の拡大は大戦景気によるものであると考えることもできる. そこで, 日本国内の生命保険購買行動にスペイン・インフルエンザの大流行に起因する変化があったのか, あったとすればいつ頃だったのかを実証研究することにした.
ISSN:0385-5481
1880-4705
DOI:10.2333/jbhmk.47.77