前縦隔原発の濾胞樹状細胞肉腫の1例

背景.濾胞樹状細胞肉腫は,リンパ濾胞内の胚中心に存在する濾胞樹状細胞に由来する稀な悪性腫瘍である.症例.75歳,女性.左胸部の疼痛を自覚し,当院を受診した.胸部CTで前縦隔やや左側,胸骨に接する3.3 cmの腫瘤影を指摘された.胸腺腫を疑い,胸腔鏡下腫瘍切除を行った.術中所見として,腫瘍は胸骨~左肋軟骨部の背面にいびつな隆起性病変として確認された.病理組織検査では,硝子血管型Castleman病の組織の一部に核異型を伴う腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色ではCD21,CD35が陽性であり,濾胞樹状細胞肉腫と診断した.術後放射線照射40 Gyを施行し,術後約5年が経過し,無再発生存中である.結論.濾...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 354 - 358
Main Authors 村上, 眞也, 塚山, 正市, 田中, 伸佳, 懸川, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.354

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Summary:背景.濾胞樹状細胞肉腫は,リンパ濾胞内の胚中心に存在する濾胞樹状細胞に由来する稀な悪性腫瘍である.症例.75歳,女性.左胸部の疼痛を自覚し,当院を受診した.胸部CTで前縦隔やや左側,胸骨に接する3.3 cmの腫瘤影を指摘された.胸腺腫を疑い,胸腔鏡下腫瘍切除を行った.術中所見として,腫瘍は胸骨~左肋軟骨部の背面にいびつな隆起性病変として確認された.病理組織検査では,硝子血管型Castleman病の組織の一部に核異型を伴う腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色ではCD21,CD35が陽性であり,濾胞樹状細胞肉腫と診断した.術後放射線照射40 Gyを施行し,術後約5年が経過し,無再発生存中である.結論.濾胞樹状細胞肉腫は稀な疾患であり,Castleman病との併存・移行例が報告されている.外科的切除によりその予後は比較的良好とされるが,局所再発や転移も報告されており,今後も経過観察が必要と考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.354