楔状気管支形成を伴う右肺S6区域切除術によって気管支定型カルチノイドを完全切除した1例

症例は20歳代女性.健診を契機として約2 cm大の右肺下葉気管支内の腫瘍を指摘された.気管支鏡下生検によって定型カルチノイド腫瘍と診断され,根治目的に手術を施行した.術中,気管支鏡で腫瘍の位置を確認し,腫瘍の中枢側で下葉気管支入口部をメスで切開した.腫瘍の基部がB6気管支内に存在することを確認し,B6入口部から下葉気管支にdeep wedgeに切り込み楔状気管支形成を行い右肺S6区域切除術を施行し,腫瘍の完全切除を行った.術後,中葉および底区の気管支内腔は開存良好で,合併症なく無再発生存している.楔状気管支形成を伴うS6区域切除は,気管支内に発育する定型カルチノイド腫瘍に対して,根治性を維持し...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 7; pp. 655 - 660
Main Authors 安達, 剛弘, 四倉, 正也, 渡辺, 俊一, 吉田, 幸弘, 中川, 加寿夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.655

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Summary:症例は20歳代女性.健診を契機として約2 cm大の右肺下葉気管支内の腫瘍を指摘された.気管支鏡下生検によって定型カルチノイド腫瘍と診断され,根治目的に手術を施行した.術中,気管支鏡で腫瘍の位置を確認し,腫瘍の中枢側で下葉気管支入口部をメスで切開した.腫瘍の基部がB6気管支内に存在することを確認し,B6入口部から下葉気管支にdeep wedgeに切り込み楔状気管支形成を行い右肺S6区域切除術を施行し,腫瘍の完全切除を行った.術後,中葉および底区の気管支内腔は開存良好で,合併症なく無再発生存している.楔状気管支形成を伴うS6区域切除は,気管支内に発育する定型カルチノイド腫瘍に対して,根治性を維持しつつ肺実質を可及的に温存する術式として有用な選択肢の一つであると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.655