未破裂脳動脈瘤を合併した特発性浅側頭動脈瘤の一例

浅側頭動脈瘤のほとんどは外傷に伴う仮性動脈瘤であり,非外傷性の特発性浅側頭動脈瘤はとくに稀である.また頭蓋内の脳動脈瘤との関連について報告した文献はわずかである.今回われわれは脳動脈瘤を合併した非外傷性真性側頭動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は74歳女性.数カ月前からの左耳介前部の拍動性腫瘤を主訴に当院を受診した.明らかな外傷歴はなく,ドップラーエコー,頭部MRA検査にて左浅側頭動脈瘤,2 mm大の右前大脳動脈瘤と診断された.左浅側頭動脈瘤に対して局所麻酔下にて動脈瘤切除術および断端吻合術を行った.術後経過は良好であった.組織学的に動脈壁の3層構造は保たれており,中膜の線維性肥厚を認め...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 101 - 104
Main Authors 中村, 康人, 熊田, 佳孝, 河合, 憲一, 石田, 成吏洋, 森, 旭弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 23.03.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.22-00096

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Summary:浅側頭動脈瘤のほとんどは外傷に伴う仮性動脈瘤であり,非外傷性の特発性浅側頭動脈瘤はとくに稀である.また頭蓋内の脳動脈瘤との関連について報告した文献はわずかである.今回われわれは脳動脈瘤を合併した非外傷性真性側頭動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は74歳女性.数カ月前からの左耳介前部の拍動性腫瘤を主訴に当院を受診した.明らかな外傷歴はなく,ドップラーエコー,頭部MRA検査にて左浅側頭動脈瘤,2 mm大の右前大脳動脈瘤と診断された.左浅側頭動脈瘤に対して局所麻酔下にて動脈瘤切除術および断端吻合術を行った.術後経過は良好であった.組織学的に動脈壁の3層構造は保たれており,中膜の線維性肥厚を認め,弾性板は部分的に途絶・不明瞭化しており,外傷機転がないことから特発性真性動脈瘤と診断した.術後6カ月の経過は良好であり,今後も右前大脳動脈瘤に対して経過観察を続けていく方針である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22-00096