純音聴力検査の実際 気導骨導差とマスキング

要旨 : 純音聴力検査における気導骨導差は, 伝音難聴と感音難聴を鑑別する上で重要な判断材料になる。しかし気導検査, 骨導検査のそれぞれで個体差が存在するために, 気導骨導差にも個体差が存在する。実測した過去の報告では正常耳における気導骨導差は 0dB を中心として標準偏差が約 10dB で ± 20dB の範囲に分布していた。このため感音難聴者においても 20dB 程度の気導骨導差が生ずる場合があること, 逆に骨導閾値が気導閾値より 20dB 程度悪い結果が得られる場合があるので診断の際に注意が必要である。純音聴力検査におけるマスキングはプラトー法で行うことが基本であるが, その原理を理解す...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 2; pp. 121 - 127
Main Author 佐野, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2024
日本聴覚医学会
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Summary:要旨 : 純音聴力検査における気導骨導差は, 伝音難聴と感音難聴を鑑別する上で重要な判断材料になる。しかし気導検査, 骨導検査のそれぞれで個体差が存在するために, 気導骨導差にも個体差が存在する。実測した過去の報告では正常耳における気導骨導差は 0dB を中心として標準偏差が約 10dB で ± 20dB の範囲に分布していた。このため感音難聴者においても 20dB 程度の気導骨導差が生ずる場合があること, 逆に骨導閾値が気導閾値より 20dB 程度悪い結果が得られる場合があるので診断の際に注意が必要である。純音聴力検査におけるマスキングはプラトー法で行うことが基本であるが, その原理を理解すれば様々に工夫することも可能である。ただし最大の伝音難聴がどちらかの耳に存在する場合にはプラトーを得ることができないことがある。そのような症例ではどのようなマスキング方法を用いても左右別の骨導閾値を測定することはできない。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.67.121