血の道症に漢方治療が7年に渡り奏効した一症例
血の道症とは,妊娠,更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神神経症状や身体症状のことである。 これまで,治療開始後2年以内の報告が多くみられていた。今回,漢方治療が7年に渡り奏効した1例を報告する。 症例は43才女性。カンジダ性湿疹,動悸,頭痛を訴えた。血虚,瘀血,水毒の状態と診断し,外用抗真菌剤,当帰芍薬散と炙甘草湯で治療を開始した。頭痛と動悸は軽減したが,冷えの悪化と皮疹を訴え当帰四逆加呉茱萸生姜湯,桂枝茯苓丸を投与した。けれども湿疹,頭重感,浮腫,自己判断による体重減少性無月経など多彩な症状を認めた。 そこで西洋医学的治療に加え当帰芍薬散を再度処方したところ月経は再来し,湿疹,動...
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Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 344 - 351 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2020
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Subjects | |
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Summary: | 血の道症とは,妊娠,更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神神経症状や身体症状のことである。 これまで,治療開始後2年以内の報告が多くみられていた。今回,漢方治療が7年に渡り奏効した1例を報告する。 症例は43才女性。カンジダ性湿疹,動悸,頭痛を訴えた。血虚,瘀血,水毒の状態と診断し,外用抗真菌剤,当帰芍薬散と炙甘草湯で治療を開始した。頭痛と動悸は軽減したが,冷えの悪化と皮疹を訴え当帰四逆加呉茱萸生姜湯,桂枝茯苓丸を投与した。けれども湿疹,頭重感,浮腫,自己判断による体重減少性無月経など多彩な症状を認めた。 そこで西洋医学的治療に加え当帰芍薬散を再度処方したところ月経は再来し,湿疹,動悸,頭痛等も改善した。しかし,甲状腺機能亢進症を併発した。長期に渡る血の道症では,甲状腺機能異常などの器質的疾患に留意し,冷え,瘀血,血虚と水毒があれば当帰芍薬散の処方を考慮すべきと思われた。 |
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ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
DOI: | 10.3937/kampomed.71.344 |