横隔膜縫縮術を施行し人工呼吸器離脱に成功した横隔膜挙上症による呼吸不全の1例

59歳男性.交通事故後に腹腔内出血を指摘され当院搬送となった.脾損傷,回腸動静脈損傷に対してダメージコントロール術,IVRで脾動脈塞栓術が施行された.術後に人工呼吸器の離脱が困難となり,既往の左横隔膜挙上症が一因と考え,手術の方針となった.手術時間は162分,出血は少量.CO2送気で視野を確保し,弛緩した横隔膜を牽引し,ポリエチレン糸4針で縦隔側から胸壁側へ連続縫合で縫縮した.術後から呼吸状態は安定し,術翌日には人工呼吸器を離脱した.2日目にドレーンを抜去した.その後も呼吸状態は安定しており,8日目にリハビリ目的に転院となった.横隔膜挙上症を有する外傷性呼吸不全の患者に対して横隔膜縫縮術を施行...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 137 - 141
Main Authors 伊藤, 温志, 金田, 真吏, 川口, 瑛久, 髙尾, 仁二, 川口, 晃司, 島本, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.137

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Summary:59歳男性.交通事故後に腹腔内出血を指摘され当院搬送となった.脾損傷,回腸動静脈損傷に対してダメージコントロール術,IVRで脾動脈塞栓術が施行された.術後に人工呼吸器の離脱が困難となり,既往の左横隔膜挙上症が一因と考え,手術の方針となった.手術時間は162分,出血は少量.CO2送気で視野を確保し,弛緩した横隔膜を牽引し,ポリエチレン糸4針で縦隔側から胸壁側へ連続縫合で縫縮した.術後から呼吸状態は安定し,術翌日には人工呼吸器を離脱した.2日目にドレーンを抜去した.その後も呼吸状態は安定しており,8日目にリハビリ目的に転院となった.横隔膜挙上症を有する外傷性呼吸不全の患者に対して横隔膜縫縮術を施行し,劇的に呼吸状態が改善した貴重な症例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.137