飲料用井戸水中のHelicobacter pylori存在に関する疫学的検討

慢性活動性胃炎, 消化性潰瘍の原因のみならず, その長期にわたる感染が胃MALTリンパ腫や胃癌の発生にも関係すると考えられているHelicobacter pyloriの感染経路については口-口, 糞-口感染, 特に飲料水がその主なものと考えられているが不明な点も多い. 今回, 大分県内で飲用に供されている井戸水中のH. pylori混入の可能性を探るために, 同県内39箇所43検体の井戸水 (開放式, 閉鎖式, 湧き水式) について, H. pylori特異的PCR法と培養による検討を行った. その結果, ureA遺伝子領域で4カ所, 16SrRNA領域で1カ所, H. pylori遺伝子が検...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 77; no. 1; pp. 18 - 23
Main Authors 緒方, 健志, 今西, 康次, 明石, 光伸, 松塚, 敦子, 西園, 晃, 牧野, 芳大, 田崎, 貴子, 藤岡, 利生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.01.2003
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.18

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Summary:慢性活動性胃炎, 消化性潰瘍の原因のみならず, その長期にわたる感染が胃MALTリンパ腫や胃癌の発生にも関係すると考えられているHelicobacter pyloriの感染経路については口-口, 糞-口感染, 特に飲料水がその主なものと考えられているが不明な点も多い. 今回, 大分県内で飲用に供されている井戸水中のH. pylori混入の可能性を探るために, 同県内39箇所43検体の井戸水 (開放式, 閉鎖式, 湧き水式) について, H. pylori特異的PCR法と培養による検討を行った. その結果, ureA遺伝子領域で4カ所, 16SrRNA領域で1カ所, H. pylori遺伝子が検出されたが, 培養ではいずれも陰性であった. これよりH. pyloriの飲料水, 特に井戸水を介した感染の可能性が改めて示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.18