心膜パッチによる肺動脈幹形成と左肺全摘を施行した左肺動脈血管肉腫の1例

肺動脈肉腫は稀で予後不良とされる.症例は60歳,男性.主訴は労作時の息切れ.精査時胸部造影CT及びMRIで左肺動脈を閉塞する腫瘍を認め,肺動脈血管肉腫が疑われた.心臓外科と合同手術の方針となった.体外循環確立後,肺動脈幹を切開した.左主肺動脈を閉塞する腫瘍を認め,肉眼的マージンを確保して左主肺動脈を切除した.肺動脈壁断端の迅速病理診断は3回目で漸く陰性となり,肺動脈幹をウシ心膜で再建した.心囊内で左下肺静脈,続いて左上肺静脈を切離後に体外循環を離脱,その後左肺全摘を施行した.最終病理診断は左肺動脈血管肉腫で肺実質への直接浸潤と肺門リンパ節への転移を認めた.肺動脈の断端は陰性であった.術後補助化...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 4; pp. 478 - 483
Main Authors 大野, 貴志, 春木, 朋広, 三和, 健, 角, 尚紀, 中村, 嘉伸, 宮本, 竜弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.478

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Summary:肺動脈肉腫は稀で予後不良とされる.症例は60歳,男性.主訴は労作時の息切れ.精査時胸部造影CT及びMRIで左肺動脈を閉塞する腫瘍を認め,肺動脈血管肉腫が疑われた.心臓外科と合同手術の方針となった.体外循環確立後,肺動脈幹を切開した.左主肺動脈を閉塞する腫瘍を認め,肉眼的マージンを確保して左主肺動脈を切除した.肺動脈壁断端の迅速病理診断は3回目で漸く陰性となり,肺動脈幹をウシ心膜で再建した.心囊内で左下肺静脈,続いて左上肺静脈を切離後に体外循環を離脱,その後左肺全摘を施行した.最終病理診断は左肺動脈血管肉腫で肺実質への直接浸潤と肺門リンパ節への転移を認めた.肺動脈の断端は陰性であった.術後補助化学療法は施行せず厳重に経過観察中で,術後10ヵ月現在再発兆候を認めていない.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.478