複数診療科による合同手術により完全切除し得た後縦隔脱分化型脂肪肉腫の1手術例
脂肪肉腫は全悪性軟部組織腫瘍中で16-18%で,縦隔発生の割合は約0.5%と非常に稀である.症例は50歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘され,当院に紹介となった.CTで後縦隔に最大径14 cm大の巨大腫瘤を認め,気管支動脈が腫瘍の栄養血管として発達していた.MRIで脱分化型脂肪肉腫疑いと診断した.呼吸器外科,消化器外科,心臓血管外科,放射線科でCancer Boardを行った.まず手術時の出血リスク低減と大動脈への浸潤に備え,胸部大動脈にステントグラフト内挿術を先行し,5日後に腫瘍摘出術を行う方針とした.手術は両側開胸で腫瘍摘出術を施行した.食道と腫瘍は一塊となっており,食道を合併切除したが,...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 387 - 395 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
15.05.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.38.387 |
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Summary: | 脂肪肉腫は全悪性軟部組織腫瘍中で16-18%で,縦隔発生の割合は約0.5%と非常に稀である.症例は50歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘され,当院に紹介となった.CTで後縦隔に最大径14 cm大の巨大腫瘤を認め,気管支動脈が腫瘍の栄養血管として発達していた.MRIで脱分化型脂肪肉腫疑いと診断した.呼吸器外科,消化器外科,心臓血管外科,放射線科でCancer Boardを行った.まず手術時の出血リスク低減と大動脈への浸潤に備え,胸部大動脈にステントグラフト内挿術を先行し,5日後に腫瘍摘出術を行う方針とした.手術は両側開胸で腫瘍摘出術を施行した.食道と腫瘍は一塊となっており,食道を合併切除したが,肺は温存可能であった.永久病理診断は脱分化型脂肪肉腫であった.術後27日目に胃管再建を行い,44日目に退院となった.複数診療科による臓器横断的な連携が奏効した症例を経験したため,報告する. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.38.387 |