巨大囊状腎動脈瘤に対して血管内治療を行い腎摘出を回避した一例

腎動脈瘤に対する血管内治療の成績は良好とされている.健康な34歳男性の左腎動脈前枝に生じた巨大囊状瘤(25 mm×30 mm×30 mm)は,neckが11 mm・neck-to-dome ratioが2.3と広基型であった.コイル塞栓には不向きとされる形状で,カバードステントを用いると,ほかの分節動脈を閉塞させてしてしまうと考えられた.冠動脈治療用ステント(Xience Skypoint)を標的血管へ留置し,瘤のneckをカバーしたのち瘤内にコイルを充填した.このような手技を用いることにより,本来コイル塞栓に不向きな形状の瘤に対しても,十分なコイルの充填が行えると考えられた.患者は合併症なく...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 195 - 198
Main Authors 中村, 優飛, 森, 久弥, 波里, 陽介, 内藤, 敬嗣, 髙木, 寿人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 19.07.2024
日本血管外科学会
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Summary:腎動脈瘤に対する血管内治療の成績は良好とされている.健康な34歳男性の左腎動脈前枝に生じた巨大囊状瘤(25 mm×30 mm×30 mm)は,neckが11 mm・neck-to-dome ratioが2.3と広基型であった.コイル塞栓には不向きとされる形状で,カバードステントを用いると,ほかの分節動脈を閉塞させてしてしまうと考えられた.冠動脈治療用ステント(Xience Skypoint)を標的血管へ留置し,瘤のneckをカバーしたのち瘤内にコイルを充填した.このような手技を用いることにより,本来コイル塞栓に不向きな形状の瘤に対しても,十分なコイルの充填が行えると考えられた.患者は合併症なく術後2日目に退院した.一方,はじめは瘤の中枢・末梢に4 mmのランディングゾーンを取れるステントを選択したが,瘤内へ脱落してしまい,十分に長いステントを追加留置した.腎動脈瘤に対する血管内治療は短期的な成績が確立されつつあり,デバイス選択についてのknow howや中~長期的な治療成績の蓄積が望まれる.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.24-00032