融雪期における土壌乾湿状態の変動と河川流出との関係
融雪期は,積雪底面流出(SBO)が1日中供給され続けるため,1年でも特に土壌が湿潤であるとされているが,実際に土壌乾湿状態の評価を行った研究はあまり多くない。本論文では,多雪山地流域である北海道母子里を対象に,土壌雨量指数(SWI)で融雪期の土壌乾湿状態を評価し,融雪流出との関係を明らかにした。その結果,土壌乾湿状態は融雪期を通じて大きく変動し,河川流出量(Q)と正の相関を示した。この傾向は,土壌乾湿状態が地中水流出と正の相関を示すことが原因とわかったが,無雪期の一般的な傾向とは異なり,土壌が湿潤になってもSBOの流出率は変化しなかった。同様の傾向は,別の多雪山地流域である新潟県長岡でも見られ...
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Published in | 日本水文科学会誌 Vol. 49; no. 1; pp. 1 - 17 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本水文科学会
26.04.2019
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Subjects | |
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Summary: | 融雪期は,積雪底面流出(SBO)が1日中供給され続けるため,1年でも特に土壌が湿潤であるとされているが,実際に土壌乾湿状態の評価を行った研究はあまり多くない。本論文では,多雪山地流域である北海道母子里を対象に,土壌雨量指数(SWI)で融雪期の土壌乾湿状態を評価し,融雪流出との関係を明らかにした。その結果,土壌乾湿状態は融雪期を通じて大きく変動し,河川流出量(Q)と正の相関を示した。この傾向は,土壌乾湿状態が地中水流出と正の相関を示すことが原因とわかったが,無雪期の一般的な傾向とは異なり,土壌が湿潤になってもSBOの流出率は変化しなかった。同様の傾向は,別の多雪山地流域である新潟県長岡でも見られたため,母子里での解析結果は多雪山地流域において一般的であることが示唆された。また,両地域の地中水流出は,Qに対して平均的に60~70%以上を占め,定量的にも重要であった。以上の結果より,土壌が融雪期の中でも特に湿潤な状態となっているならば,たとえSBOが小さくても,洪水発生のリスクは高くなるということが示唆された。 |
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ISSN: | 1342-9612 1883-7166 |
DOI: | 10.4145/jahs.49.1 |