Stage IVの右下葉肺癌に対するpembrolizumab療法中に発生した右上葉肺癌に対し手術を施行した1例

63歳男性.3年前に多発脳転移や右副腎転移を伴う右下葉肺腺癌の診断で,脳腫瘍摘出術,全脳照射の後,pembrolizumab療法を開始した.1コース目に右上葉肺炎を発症し治療後に不整形のすりガラス陰影が残存した.9コース後,原発巣は0.6 cmへ縮小し転移巣は消失した.48コース後,右上葉肺炎後に残存したすりガラス陰影が急速に増大し,経気管支生検で右下葉肺癌と形態の異なる腺癌の所見が得られ,第二癌を疑った.右下葉肺癌に関しては免疫療法により部分奏効を維持しており,長期生存が得られる可能性を追求して右上葉肺癌に対し手術を施行した.初診時に腫大していた#12Lリンパ節が瘢痕様となり右上葉および肺動...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 426 - 431
Main Authors 諸星, 直輝, 川原, 洋一郎, 田尾, 嘉浩, 林, 浩三, 細川, 誉至雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.426

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Summary:63歳男性.3年前に多発脳転移や右副腎転移を伴う右下葉肺腺癌の診断で,脳腫瘍摘出術,全脳照射の後,pembrolizumab療法を開始した.1コース目に右上葉肺炎を発症し治療後に不整形のすりガラス陰影が残存した.9コース後,原発巣は0.6 cmへ縮小し転移巣は消失した.48コース後,右上葉肺炎後に残存したすりガラス陰影が急速に増大し,経気管支生検で右下葉肺癌と形態の異なる腺癌の所見が得られ,第二癌を疑った.右下葉肺癌に関しては免疫療法により部分奏効を維持しており,長期生存が得られる可能性を追求して右上葉肺癌に対し手術を施行した.初診時に腫大していた#12Lリンパ節が瘢痕様となり右上葉および肺動脈に固着し剥離困難で,肺動脈に沿って同リンパ節を横断して右上葉を摘出した.5日目に一過性心房細動を認めたがその他の合併症は認めず10日目に退院した.病理結果で右上葉肺腺癌ypT1cN1MXと診断した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.426