右主気管支の一度離断により安全に完全切除した巨大中縦隔腫瘍の1例

今回我々は,右主気管支を一度離断することで視野を確保し,安全に完全切除した巨大中縦隔腫瘍の1例を経験したので報告する.神経線維腫は縦隔神経原性腫瘍の約20%を占め,20-30代に好発する腫瘍である.症例は53歳,男性.前医整形外科で骨盤内悪性末梢神経鞘腫・ダンベル型後縦隔神経節細胞腫の切除歴あり.中縦隔に増大する腫瘍を指摘され,当科へ紹介.造影CTで主座は中縦隔であったが,腫瘍は上縦隔から下縦隔にかけて存在し,左房,右主肺動脈を圧排する巨大な腫瘍であった.手術は左側臥位,ロボット支援下で開始したが,左房,右主肺動脈近傍での浸潤傾向が強いことから後側方開胸へコンバートした.さらに大動脈,左主肺動...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 545 - 550
Main Authors 松永, 健志, 福井, 麻里子, 大熊, 真理, 高持, 一矢, 鈴木, 健司, 服部, 有俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.545

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Summary:今回我々は,右主気管支を一度離断することで視野を確保し,安全に完全切除した巨大中縦隔腫瘍の1例を経験したので報告する.神経線維腫は縦隔神経原性腫瘍の約20%を占め,20-30代に好発する腫瘍である.症例は53歳,男性.前医整形外科で骨盤内悪性末梢神経鞘腫・ダンベル型後縦隔神経節細胞腫の切除歴あり.中縦隔に増大する腫瘍を指摘され,当科へ紹介.造影CTで主座は中縦隔であったが,腫瘍は上縦隔から下縦隔にかけて存在し,左房,右主肺動脈を圧排する巨大な腫瘍であった.手術は左側臥位,ロボット支援下で開始したが,左房,右主肺動脈近傍での浸潤傾向が強いことから後側方開胸へコンバートした.さらに大動脈,左主肺動脈近傍での剥離に難渋したため,視野確保のために一度右主気管支を切断することで視野を確保,腫瘍を摘除した.切離した右主気管支を吻合し手術を終了した.術後は左反回神経麻痺を認めたが,その他の合併症なく経過良好に退院,外来経過観察中である.病理診断では神経線維腫の診断であった.巨大中縦隔腫瘍に対して右側からアプローチする際,右主気管支を一時的に切断することで良好な視野を得ることができた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.545