正常聴力の耳鳴患者における聞こえにくさの要因の検討

要旨: 耳鳴患者において, 聞こえにくいという訴えは少なくない。今回, 正常聴力の耳鳴患者を対象とし, 聞こえに対するハンディキャップがない症例とハンディキャップがある症例に分類し, 聞こえにくさに影響する因子について検討した。  正常聴力の耳鳴患者188例のうち, 聞こえにハンディキャップのある症例を46例 (24.5%) 認めた。ハンディキャップがある症例は, ない症例と比較し, 平均聴力の左右差が 5dB 以上ある症例や, 片側耳鳴症例が有意に多く, 患側の 4000Hz の聴力閾値が高く, さらに, 耳鳴の重症度が高く, うつ・不安の傾向や耳鳴に対する否定的な認知の傾向が強かった。  ...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 68; no. 2; pp. 181 - 188
Main Authors 鈴木, 海斗, 蒲谷, 嘉代子, 高橋, 真理子, 岩﨑, 真一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2025
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: 耳鳴患者において, 聞こえにくいという訴えは少なくない。今回, 正常聴力の耳鳴患者を対象とし, 聞こえに対するハンディキャップがない症例とハンディキャップがある症例に分類し, 聞こえにくさに影響する因子について検討した。  正常聴力の耳鳴患者188例のうち, 聞こえにハンディキャップのある症例を46例 (24.5%) 認めた。ハンディキャップがある症例は, ない症例と比較し, 平均聴力の左右差が 5dB 以上ある症例や, 片側耳鳴症例が有意に多く, 患側の 4000Hz の聴力閾値が高く, さらに, 耳鳴の重症度が高く, うつ・不安の傾向や耳鳴に対する否定的な認知の傾向が強かった。  正常聴力の耳鳴患者における聞こえにくさに影響する因子には, 聴力, 耳鳴の左右非対称性, 患側の高音部閾値の上昇, 耳鳴の重症度およびうつ不安傾向があることが示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.68.181