Clostridium difficile関連下痢症の迅速診断における糞便中toxin Aおよびtoxin B同時検出キットの有用性に関する検討
Clostridium difficile関連下痢症 (C. difficile-associated diarrhea: CDAD) の診断において糞便中toxinの検出は不可欠であるが, 我が国において利用可能なtoxin検出キットはいずれもtoxin Aのみが対象であり, CDADの標準的診断検査法である細胞毒性試験と比較して検出感度が低い.そこで今回我々は, 糞便中C.difficile toxin Aおよびtoxin B同時検出キットの有用性を明らかにする目的で, toxin AおよびB同時検出キットであるImmunocard Toxin A & B (以下ImmunoCar...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 81; no. 1; pp. 33 - 38 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.01.2007
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Summary: | Clostridium difficile関連下痢症 (C. difficile-associated diarrhea: CDAD) の診断において糞便中toxinの検出は不可欠であるが, 我が国において利用可能なtoxin検出キットはいずれもtoxin Aのみが対象であり, CDADの標準的診断検査法である細胞毒性試験と比較して検出感度が低い.そこで今回我々は, 糞便中C.difficile toxin Aおよびtoxin B同時検出キットの有用性を明らかにする目的で, toxin AおよびB同時検出キットであるImmunocard Toxin A & B (以下ImmunoCard) を用いて, toxin A検出キットであるUniquickならびに標準法である細胞毒性試験との比較検討を行った.また, 糞便からのC. difficile分離培養を併せて実施し, 分離菌株のtoxin production typeをPCR法によるtoxin遺伝子検出により同定した (toxin Aならびにtoxin B産生株をA+B+, toxin Bのみ産生株をA-B+とした).その結果, 細胞毒性試験を対照とした場合のImmunoCardのsensitivity, specificity, positive predictive valueおよびnegative predictivevalueはそれぞれ86.2%, 93.8%, 91.8%および89.4% (n=146) であり, Uniquick (60.0%, 97.5%, 95.1%および75.2%) に比べ検出感度が有意 (p=0.0016) に向上していた.また, 細胞毒性試験陽性でA+B+が分離された糞便におけるImmunoCardの陽性率は90.6% (Uniquick: 67.9%, p=0.008), 一方, A-B+が分離された糞便の陽性率は70.0%であり, ImmunoCardはA-B+によるCDADの細菌学的診断が可能となったことに加え, A+B+によるCDADにおける陽性率も有意に向上していた.このようにImmunoCardは細胞毒性試験に比べ若干検出感度は劣るものの, 特殊な設備や機器を必要とせず, 短時間でA-B+によるCDADをも含めた迅速診断が可能なことから, CDADの細菌学的診断検査法として極めて有用であると思われた.今後このようなtoxin AおよびB同時検出キットが日本国内に導入されることにより, より正確なCDADの診断ならびに的確な感染予防対策が実施できるものと期待された. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.81.33 |