右特発性血気胸に対して単孔式胸腔鏡手術を施行した1例

患者は30歳男性.フットサルのプレー中に呼吸困難と右胸痛を自覚したため当院を受診した.右特発性血気胸の診断で胸腔ドレナージが行われ,血性胸水が認められた.持続性の血性排液であったため,緊急手術の方針となった.搬入途中でショック状態を呈したため,細胞外液の急速投与が行われた.手術は右第6肋間中腋窩線部に挿入された胸腔ドレーン刺入部を利用した単孔式胸腔鏡手術で行われた.胸腔内に血腫と胸腔頂部壁側胸膜面に血管様索状物が認められ,同索状物が出血源と同定された.手術開始後約8分で,同部に対してバイポーラによる焼灼止血が行われた.血腫除去後,肺尖部の破裂ブラの切除が行われ,手術終了となった.手術時間63分...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 338 - 342
Main Authors 中西, 浩三, 後藤, 英典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.338

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Summary:患者は30歳男性.フットサルのプレー中に呼吸困難と右胸痛を自覚したため当院を受診した.右特発性血気胸の診断で胸腔ドレナージが行われ,血性胸水が認められた.持続性の血性排液であったため,緊急手術の方針となった.搬入途中でショック状態を呈したため,細胞外液の急速投与が行われた.手術は右第6肋間中腋窩線部に挿入された胸腔ドレーン刺入部を利用した単孔式胸腔鏡手術で行われた.胸腔内に血腫と胸腔頂部壁側胸膜面に血管様索状物が認められ,同索状物が出血源と同定された.手術開始後約8分で,同部に対してバイポーラによる焼灼止血が行われた.血腫除去後,肺尖部の破裂ブラの切除が行われ,手術終了となった.手術時間63分,術中出血量41 ml.術後経過良好で,術後3日目に胸腔ドレーンを抜去,入院8日目に退院となった.胸腔ドレーン刺入部を利用した単孔式胸腔鏡手術は速やかに胸腔内の観察・止血を容易に行える点で有用である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.338