集学的治療で6年6カ月生存を得た単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫の1例

症例は63歳,男性.2012年,突然の腹痛で来院し小腸穿孔の診断で小腸部分切除を施行したが,穿孔原因は不明であった.2014年,左下腹部腫瘤を自覚し,小腸内視鏡検査での生検にて悪性リンパ腫が疑われ,小腸部分切除を行った.細胞免疫形質はCD3・CD8・CD56陽性,CD4・CD5・CD79a・granzyme B・EBER-ISH陰性で,単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫(MEITL)と診断し,CHOEP-14療法6コースおよびMCEC療法,自家末梢血幹細胞移植を施行した.2017年と2019年に二度,再発による小腸穿孔に対して小腸部分切除を施行し,術後GDP療法によるサルベージ療法を行って再寛解...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 4; pp. 697 - 703
Main Authors 篠原, 陸斗, 太田, 聡, 梅本, 一史, 前森, 雅世, 櫛谷, 洋樹, 高田, 実, 加藤, 健太郎, 安保, 義恭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.697

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Summary:症例は63歳,男性.2012年,突然の腹痛で来院し小腸穿孔の診断で小腸部分切除を施行したが,穿孔原因は不明であった.2014年,左下腹部腫瘤を自覚し,小腸内視鏡検査での生検にて悪性リンパ腫が疑われ,小腸部分切除を行った.細胞免疫形質はCD3・CD8・CD56陽性,CD4・CD5・CD79a・granzyme B・EBER-ISH陰性で,単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫(MEITL)と診断し,CHOEP-14療法6コースおよびMCEC療法,自家末梢血幹細胞移植を施行した.2017年と2019年に二度,再発による小腸穿孔に対して小腸部分切除を施行し,術後GDP療法によるサルベージ療法を行って再寛解を得た.2021年,3rd relapseをきたし小腸部分切除を行った.術後に抗CCR4抗体による化学療法を行ったが,腫瘍の再発・増大により診断から6年6カ月後に死亡した.今回,稀な悪性リンパ腫であるMEITLに対し,積極的な腸管切除と化学療法・自己末梢血幹細胞移植の集学的治療によって長期生存を得た1例を経験したので,若干の文献的考察も含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.697