対側味覚障害を呈した左視床出血の一例
症例は49歳男性.右半身の感覚異常および運動障害で発症した左視床出血.保存的入院治療中,第3病日に右口唇部感覚異常と味覚障害を自覚.電気味覚検査にて右舌咽神経,鼓索神経領域の味覚低下と診断した.保存的治療にて自覚的な味覚障害は軽快し,第18病日には電気味覚検査にて改善が確認された.脳血管障害による味覚障害は比較的まれな症候であり,電気味覚検査等による客観的評価が行われることも少ない.味覚情報における神経伝達路のすべては解明されていないが,既報では同側のpontine taste area(PTA)を上行し,対側視床に投射するとされている.本症例の血腫は左視床後内側腹側(ventral post...
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Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 3; pp. 184 - 188 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2025
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 症例は49歳男性.右半身の感覚異常および運動障害で発症した左視床出血.保存的入院治療中,第3病日に右口唇部感覚異常と味覚障害を自覚.電気味覚検査にて右舌咽神経,鼓索神経領域の味覚低下と診断した.保存的治療にて自覚的な味覚障害は軽快し,第18病日には電気味覚検査にて改善が確認された.脳血管障害による味覚障害は比較的まれな症候であり,電気味覚検査等による客観的評価が行われることも少ない.味覚情報における神経伝達路のすべては解明されていないが,既報では同側のpontine taste area(PTA)を上行し,対側視床に投射するとされている.本症例の血腫は左視床後内側腹側(ventral posterior medial: VPM)核および後外側腹側(ventral posterolateral: VPL)核に局在し,味覚情報の中継点とされるVPM核の障害による症候として矛盾はなかった.視床VPM核近傍の血管障害では味覚異常を念頭に置いた病歴聴取や電気味覚検査等による客観的評価が有効である. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11288 |