心膜に発生した線維形成性小円形細胞腫瘍の1例

線維形成性小円形細胞腫瘍(desmoplastic small round cell tumor:DSRCT)は若年男性の腹腔に好発する希少な高悪性度腫瘍である.今回DSRCTの心膜発生例を経験したので報告する.症例38歳,女性.心タンポナーデによるうっ血性心不全に対し,前医で心囊ドレナージを施行された.心囊液は血性で細胞診にて異型細胞が検出されたため,精査目的に当院紹介となった.CTでは心膜の肥厚と多量の心囊液を認めたが,心膜以外に原発巣を疑う病変は確認されなかった.組織採取と心囊液ドレナージを目的に,胸腔鏡下心囊開窓術を施行した.病理組織学的検討の結果,DSRCTの診断に至った.診断後5年...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 590 - 595
Main Authors 大貫, 雄一郎, 笹沼, 玄信, 武藤, 護, 松原, 寛知, 小泉, 竜之介, 中島, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.590

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Summary:線維形成性小円形細胞腫瘍(desmoplastic small round cell tumor:DSRCT)は若年男性の腹腔に好発する希少な高悪性度腫瘍である.今回DSRCTの心膜発生例を経験したので報告する.症例38歳,女性.心タンポナーデによるうっ血性心不全に対し,前医で心囊ドレナージを施行された.心囊液は血性で細胞診にて異型細胞が検出されたため,精査目的に当院紹介となった.CTでは心膜の肥厚と多量の心囊液を認めたが,心膜以外に原発巣を疑う病変は確認されなかった.組織採取と心囊液ドレナージを目的に,胸腔鏡下心囊開窓術を施行した.病理組織学的検討の結果,DSRCTの診断に至った.診断後5年経過しているが,遠隔転移は認めていない.DSRCTは腹腔外臓器にも発生し得るが,本邦における心膜発生の報告は本症例が初めてである.DSRCTの中には本症例のように,非典型例も存在する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.590