胸腔鏡下手術により治癒したCOVID-19罹患後の再発性中縦隔膿瘍の1例

症例は2型糖尿病の既往がある79歳男性.COVID-19,間質性肺炎および菌血症(Klebsiella pneumoniae)等に対して前医で入院治療されていた.退院後すぐに腰背部痛を認め,当院で精査の結果下行大動脈周囲の中縦隔膿瘍が認められた.入院で点滴抗菌薬治療を1ヵ月行い改善したため退院となった.退院後2ヵ月で同部位に膿瘍再発を認め再度点滴抗菌薬治療を行い改善した.再治療後は長期間内服抗菌薬を投与していたが,5ヵ月後に同部位に膿瘍の2度目の再発が認められた.難治性と判断し胸腔鏡下膿瘍ドレナージを施行した.膿瘍よりKlebsiella pneumoniaeを検出,前医で検出された菌と同じで...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 381 - 386
Main Authors 元石, 充, 山下, 直己, 堀, 哲雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.381

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Summary:症例は2型糖尿病の既往がある79歳男性.COVID-19,間質性肺炎および菌血症(Klebsiella pneumoniae)等に対して前医で入院治療されていた.退院後すぐに腰背部痛を認め,当院で精査の結果下行大動脈周囲の中縦隔膿瘍が認められた.入院で点滴抗菌薬治療を1ヵ月行い改善したため退院となった.退院後2ヵ月で同部位に膿瘍再発を認め再度点滴抗菌薬治療を行い改善した.再治療後は長期間内服抗菌薬を投与していたが,5ヵ月後に同部位に膿瘍の2度目の再発が認められた.難治性と判断し胸腔鏡下膿瘍ドレナージを施行した.膿瘍よりKlebsiella pneumoniaeを検出,前医で検出された菌と同じであると考えられた.術後4週間の抗菌薬投与を行い,以後2年経過したが再発は認めず治癒を得たと考えられる.本症例のように縦隔膿瘍は難治性となることがあり,外科的ドレナージを考慮する必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.381