化学物質の構造類似性にもとづくデータマイニング

本研究では筆者らが先に提案したトポロジカルフラグメントスペクトル(Topological Fragment Spectra, TFS)による新たな構造情報の記述手法をもとに,特定の部分構造の有無のみならず化学構造全体の漠然とした類似性をも考慮したよりやわらかな構造情報の取り扱いとその化学データマイニングへの応用について検討した.構造類似性評価におけるTFS法の有用性と薬物構造データベースを対象としたデータマイニングへの応用の可能性を検証するため,World Drug Index(WDI)より抽出した3,637件の薬物構造データベースを対象に, TFSデータベースを作成した.これを利用し,神経伝...

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Published inJournal of Computer Chemistry, Japan Vol. 2; no. 4; pp. 119 - 126
Main Authors 加藤, 博明, 藤島, 悟志, 高橋, 由雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本コンピュータ化学会 2003
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ISSN1347-1767
1347-3824
DOI10.2477/jccj.2.119

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Summary:本研究では筆者らが先に提案したトポロジカルフラグメントスペクトル(Topological Fragment Spectra, TFS)による新たな構造情報の記述手法をもとに,特定の部分構造の有無のみならず化学構造全体の漠然とした類似性をも考慮したよりやわらかな構造情報の取り扱いとその化学データマイニングへの応用について検討した.構造類似性評価におけるTFS法の有用性と薬物構造データベースを対象としたデータマイニングへの応用の可能性を検証するため,World Drug Index(WDI)より抽出した3,637件の薬物構造データベースを対象に, TFSデータベースを作成した.これを利用し,神経伝達物質として知られるドーパミンをQueryとした類似構造検索を試みたところ,化学者の直感に矛盾しない良好な結果を得ることができた.また,上記の検索結果をもとに得られた構造類似化合物についてのドーパミン活性の有無を調べてみたところ,複数の化合物が同活性を有するものであることが明らかとなった.このことは構造類似性にもとづく候補構造発見のためのデータマイニングの有用性を示唆するものであると考える.
ISSN:1347-1767
1347-3824
DOI:10.2477/jccj.2.119