ロボット支援手術の高難度症例への対応─膀胱全摘除術

本邦では2018年にロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) が保険収載され, 多くの施設で行われるようになってきた. RARCは低侵襲手術の一つとして考えられているが, 周術期合併症については, 年々減少傾向にはあるものの, グレードの高い合併症は一定の頻度で発症している. 実際の手術では, 画像で腫瘍を認めた部位と反対側に腫瘍の浸潤を認めた症例, 腫瘍が大きく, 剥離面が全く展開できなかった症例, などに遭遇する. また, 高齢や, 合併症を理由に, RARCと尿管皮膚ろうを行った症例もある. 術後早期に亡くなったものの, 少なくとも, 膀胱タンポナーデを回避できたことは, 手術の意義があっ...

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Published inJapanese Journal of Endourology and Robotics Vol. 36; no. 2; pp. 162 - 168
Main Authors 川瀬, 真, 髙井, 学, 古家, 琢也, 加藤, 大貴, 中根, 慶太, 飯沼, 光司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 2023
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ISSN2436-875X
DOI10.11302/jserjje.36.2_162

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Summary:本邦では2018年にロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) が保険収載され, 多くの施設で行われるようになってきた. RARCは低侵襲手術の一つとして考えられているが, 周術期合併症については, 年々減少傾向にはあるものの, グレードの高い合併症は一定の頻度で発症している. 実際の手術では, 画像で腫瘍を認めた部位と反対側に腫瘍の浸潤を認めた症例, 腫瘍が大きく, 剥離面が全く展開できなかった症例, などに遭遇する. また, 高齢や, 合併症を理由に, RARCと尿管皮膚ろうを行った症例もある. 術後早期に亡くなったものの, 少なくとも, 膀胱タンポナーデを回避できたことは, 手術の意義があったと考えている. 本稿では, 我々の経験した難易度の高いと思われる症例を提示し, RARCの適応や問題点や, RARCに対する考え方などを紹介する.
ISSN:2436-875X
DOI:10.11302/jserjje.36.2_162