同一肺葉に部分肺静脈還流異常を合併した肺癌の1切除例
部分肺静脈還流異常症(Partial Anomalous Pulmonary Venous Connection:PAPVC)は一部の肺静脈系が左心系に流入せず,右心房・上大静脈・下大静脈・奇静脈・左腕頭静脈などの右心系に流入する稀な先天奇形である.PAPVCに肺癌を合併すると切除肺葉と異常流入血管との位置関係が治療方針に重要となる事がある.症例は50歳男性,検診で胸部異常影を指摘され,精査の結果左肺腺癌と診断された.その際の術前胸部CTでPAPVCを指摘されたが,切除肺葉からの異常血管であった.肺癌に合併するPAPVCでは切除肺葉から還流する場合は特別な処置を必要としないが他肺葉に合併する場...
Saved in:
Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 333 - 337 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
15.05.2024
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.38.333 |
Cover
Summary: | 部分肺静脈還流異常症(Partial Anomalous Pulmonary Venous Connection:PAPVC)は一部の肺静脈系が左心系に流入せず,右心房・上大静脈・下大静脈・奇静脈・左腕頭静脈などの右心系に流入する稀な先天奇形である.PAPVCに肺癌を合併すると切除肺葉と異常流入血管との位置関係が治療方針に重要となる事がある.症例は50歳男性,検診で胸部異常影を指摘され,精査の結果左肺腺癌と診断された.その際の術前胸部CTでPAPVCを指摘されたが,切除肺葉からの異常血管であった.肺癌に合併するPAPVCでは切除肺葉から還流する場合は特別な処置を必要としないが他肺葉に合併する場合には右心不全の懸念が生じ,慎重な手術戦略の検討を要する.今回我々は術前に診断し得たPAPVCに合併した肺癌を,術後合併症なく安全に肺葉切除を施行できた一例を経験したので文献的考察を加えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.38.333 |