両側多発肺転移を有した多包性エキノコックス症の1例

症例は,49歳男性.血痰,胸痛を主訴に当院初診.CT上,左肺S1+2cに54×43 mmの空洞性病変と両側多発結節を認めた.また肝後区域に石灰化を伴う119×87 mmの腫瘤と右副腎腫瘤を認めた.気管支鏡検査施行も診断はつかず,確定診断目的に胸腔鏡下左肺S5部分切除を施行した.病理診断はエキノコックス症であり,肝後区域原発,両側多発肺転移,右副腎転移の診断となった.原発巣および右副腎は切除可能と判断し,呼吸器症状を考慮し肺の可及的切除を優先した.右肺および左肺多発結節に対し2期的に部分切除を施行した.その後,肝後区域切除+肝S2部分切除+胆囊摘出術+右副腎摘出を施行した.病理結果はすべてエキノ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 524 - 530
Main Authors 本橋, 雄介, 長, 靖, 加地, 苗人, 佐藤, 昌明, 椎名, 伸行, 野村, 俊介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.524

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Summary:症例は,49歳男性.血痰,胸痛を主訴に当院初診.CT上,左肺S1+2cに54×43 mmの空洞性病変と両側多発結節を認めた.また肝後区域に石灰化を伴う119×87 mmの腫瘤と右副腎腫瘤を認めた.気管支鏡検査施行も診断はつかず,確定診断目的に胸腔鏡下左肺S5部分切除を施行した.病理診断はエキノコックス症であり,肝後区域原発,両側多発肺転移,右副腎転移の診断となった.原発巣および右副腎は切除可能と判断し,呼吸器症状を考慮し肺の可及的切除を優先した.右肺および左肺多発結節に対し2期的に部分切除を施行した.その後,肝後区域切除+肝S2部分切除+胆囊摘出術+右副腎摘出を施行した.病理結果はすべてエキノコックス症であった.診断確定後よりalbendazole投与を開始し継続中である.術後12年3ヵ月残存肺病変の増大なく経過している.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.524