JAいわて中央による農業の公益的価値の創出へ向けた 大規模地域営農のとりくみ

2006年以降,東北地方を中心に大規模な地域営農の設立によって,水稲作の地域内分業体制の確立や担い手組織への経営面積の集約化といった水田稲作農業地域の再編が進められている。しかし,農地や作業を委託する一般農家には,新たな農業収益を確保する手段が講じられていないことから,一般農家の離農化の進行や担い手不足による耕作放棄地の拡大といった問題が顕在化している。本研究の目的は,地域営農の推進とともに,公益的価値の創出によって一般農家に新たな経済基盤の設立を進めるJAいわて中央の取り組みを分析することで,地域営農による水田稲作農業地域の再編に対して単位農協が果たすべき役割を明らかにすることである。農家や...

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Published in地理空間 Vol. 8; no. 2; pp. 267 - 287
Main Author 大竹, 伸郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地理空間学会 2015
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ISSN1882-9872
2433-4715
DOI10.24586/jags.8.2_267

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Summary:2006年以降,東北地方を中心に大規模な地域営農の設立によって,水稲作の地域内分業体制の確立や担い手組織への経営面積の集約化といった水田稲作農業地域の再編が進められている。しかし,農地や作業を委託する一般農家には,新たな農業収益を確保する手段が講じられていないことから,一般農家の離農化の進行や担い手不足による耕作放棄地の拡大といった問題が顕在化している。本研究の目的は,地域営農の推進とともに,公益的価値の創出によって一般農家に新たな経済基盤の設立を進めるJAいわて中央の取り組みを分析することで,地域営農による水田稲作農業地域の再編に対して単位農協が果たすべき役割を明らかにすることである。農家やJAいわて中央への実態調査の結果,JAいわて中央の消費者との連携や地域内の自然環境保全を意識した様々な取り組みによって,新たな作物の栽培や販売経路の拡大などが実現し,それが農家所得の向上に繋がっていることが明らかとなった。
ISSN:1882-9872
2433-4715
DOI:10.24586/jags.8.2_267