根治切除術後早期に再発した肺類上皮血管内皮腫の一例
症例は60歳代男性.検診の胸部X線写真で左下肺野の結節影を指摘され,精査のCTで左肺下葉S10に2.1 cm大の不整形結節影を認めた.気管支鏡による確定診断は困難と判断し,手術による確定診断の方針とした.病変を含めた肺部分切除術を施行し,免疫組織化学染色で肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma:PEH)の診断を得た.単発例ながら術後早期に多発肺転移・多発骨転移をきたしたが集学的治療を行い,病勢コントロールを得られた.本症では多発症例や再発症例に対し放射線照射,化学療法,ステロイド療法などの奏効例も見られるが確立された治療方法はな...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 131 - 136 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.03.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.37.131 |
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Summary: | 症例は60歳代男性.検診の胸部X線写真で左下肺野の結節影を指摘され,精査のCTで左肺下葉S10に2.1 cm大の不整形結節影を認めた.気管支鏡による確定診断は困難と判断し,手術による確定診断の方針とした.病変を含めた肺部分切除術を施行し,免疫組織化学染色で肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma:PEH)の診断を得た.単発例ながら術後早期に多発肺転移・多発骨転移をきたしたが集学的治療を行い,病勢コントロールを得られた.本症では多発症例や再発症例に対し放射線照射,化学療法,ステロイド療法などの奏効例も見られるが確立された治療方法はなく,急速な増悪を認めた場合には治療に難渋することが多いとされ,厳重な経過観察が必要である. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.37.131 |