外科切除後に診断に至った肺放線菌症の2例

肺放線菌症は画像では肺癌や肺結核等との鑑別を要し,診断に難渋し外科切除に至る症例が多い慢性化膿性肉芽腫性疾患である.診断が確定しても抗菌薬加療に抵抗し外科切除に至る症例もある.症例①は85歳男性.血痰を認め前医を受診し,CTで左下葉に腫瘤影を認め当院を受診した.原発性肺癌が強く疑われたため左下葉切除術を施行し,病理結果で肺放線菌症の診断となった.術後は抗菌薬加療を行わなかったが再発なく経過している.症例②は64歳女性.血痰を認め前医を受診し,CTで右中葉浸潤影と気管支拡張像を指摘され当院を受診した.確定診断には至らず,臨床的に非結核性抗酸菌症として抗菌薬加療を行った.しかし症状再燃を繰り返すた...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 584 - 589
Main Authors 近藤, 薫, 古川, 真一, 渡邉, 元嗣, 塩谷, 俊雄, 片岡, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.584

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Summary:肺放線菌症は画像では肺癌や肺結核等との鑑別を要し,診断に難渋し外科切除に至る症例が多い慢性化膿性肉芽腫性疾患である.診断が確定しても抗菌薬加療に抵抗し外科切除に至る症例もある.症例①は85歳男性.血痰を認め前医を受診し,CTで左下葉に腫瘤影を認め当院を受診した.原発性肺癌が強く疑われたため左下葉切除術を施行し,病理結果で肺放線菌症の診断となった.術後は抗菌薬加療を行わなかったが再発なく経過している.症例②は64歳女性.血痰を認め前医を受診し,CTで右中葉浸潤影と気管支拡張像を指摘され当院を受診した.確定診断には至らず,臨床的に非結核性抗酸菌症として抗菌薬加療を行った.しかし症状再燃を繰り返すため胸腔鏡下右中葉切除術を行い,肺放線菌症が疑われた.術後診断が確定する前に症状が再燃した.今回は再燃を防ぎ得なかったが,術後肺放線菌症が強く疑われた際は速やかに抗菌薬加療を開始した方が良いと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.584