子宮内膜症の治療中に発症した胸腔子宮内膜症性気胸の1例

47歳,女性.44歳と46歳時にそれぞれ右気胸を発症するも保存的治療にて治癒した.46歳の気胸発症時に子宮内膜症と診断されて以降,子宮内膜症に対して婦人科にて黄体ホルモン療法を受けていた.子宮内膜症の治療開始後,月経.今回,突然の右胸痛を自覚し,右II度気胸と診断された.胸部CTでは,右上葉に肺囊胞やその周囲の胸膜肥厚が認められたが,横隔膜に明らかな異常所見は認められなかった.発症7日目の時点でも右気胸の改善は得られなかったので手術の方針となった.手術では,横隔膜腱中心に存在する多数の欠損孔から肝表面が視認できた.横隔膜腱中心はポリグラクチン縫合糸にて縫合閉鎖された.また上葉の肺囊胞と胸膜肥厚...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 377 - 380
Main Authors 奥谷, 大介, 片岡, 正文, 坂本, 美咲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.377

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Summary:47歳,女性.44歳と46歳時にそれぞれ右気胸を発症するも保存的治療にて治癒した.46歳の気胸発症時に子宮内膜症と診断されて以降,子宮内膜症に対して婦人科にて黄体ホルモン療法を受けていた.子宮内膜症の治療開始後,月経.今回,突然の右胸痛を自覚し,右II度気胸と診断された.胸部CTでは,右上葉に肺囊胞やその周囲の胸膜肥厚が認められたが,横隔膜に明らかな異常所見は認められなかった.発症7日目の時点でも右気胸の改善は得られなかったので手術の方針となった.手術では,横隔膜腱中心に存在する多数の欠損孔から肝表面が視認できた.横隔膜腱中心はポリグラクチン縫合糸にて縫合閉鎖された.また上葉の肺囊胞と胸膜肥厚を伴う病変は切除された.術後2日目に退院し,退院後も子宮内膜症に対してホルモン療法を継続している.術後約3年経過したが気胸の再発は認めていない.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.377