左上葉切除後に2度肺気瘤を生じ, 保存加療で改善を認めた1症例

症例は77歳,男性.肺気腫合併あり.左上葉肺癌に対して胸腔鏡下左上葉切除を施行した.術後3病日,胸腔ドレーンのクランプテスト中に急激な皮下気腫の拡大を認めた.CT検査では残下葉S6に5.5 cm大の肺気瘤の形成を認め,エアリークが持続したため術後7病日に再手術を施行した.残下葉S8に著明なエアリークを伴う肺裂傷を認め修復を行ったが,肺気瘤からのエアリークはなく処置は行わなかった.再手術後の経過は良好で,肺気瘤は縮小傾向を認めた.術後補助化学療法を開始後,X線検査で左横隔膜上に9.5 cm大の肺気瘤の新出を認めた.一時的に血痰を伴ったが軽快し,以降化学療法は中止として経過観察の方針とした.術後1...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 326 - 332
Main Authors 籠橋, 千尋, 分島, 良, 石沢, 遼太, 森, 恵利華
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.326

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Summary:症例は77歳,男性.肺気腫合併あり.左上葉肺癌に対して胸腔鏡下左上葉切除を施行した.術後3病日,胸腔ドレーンのクランプテスト中に急激な皮下気腫の拡大を認めた.CT検査では残下葉S6に5.5 cm大の肺気瘤の形成を認め,エアリークが持続したため術後7病日に再手術を施行した.残下葉S8に著明なエアリークを伴う肺裂傷を認め修復を行ったが,肺気瘤からのエアリークはなく処置は行わなかった.再手術後の経過は良好で,肺気瘤は縮小傾向を認めた.術後補助化学療法を開始後,X線検査で左横隔膜上に9.5 cm大の肺気瘤の新出を認めた.一時的に血痰を伴ったが軽快し,以降化学療法は中止として経過観察の方針とした.術後1年時点で肺癌の再発はなく,いずれの肺気瘤も自然経過で消退を認めた.術後肺気瘤は非常に稀であり治療方針は定まっていないが,保存加療で治癒が得られる可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.326