大動脈四尖弁による閉鎖不全症に僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症を合併した1症例

大動脈四尖弁は非常に稀な疾患であり,その発生頻度は剖検例の検討で0.008~0.033%,また大動脈弁置換術症例の検討では0.85~1.46%と報告されている.今回われわれは大動脈四尖弁による大動脈閉鎖不全症(AR)に僧帽弁閉鎖不全症(MR),三尖弁閉鎖不全症(TR)を合併した1症例を経験したので報告する.症例は66歳男性.5年ほど前より呼吸苦を認めるようになり,同時期に心不全にて入院加療となる.いったん軽快するも再度呼吸苦が出現し,心不全の増悪にて再入院した.薬物療法でも改善を認めず,精査にてAR,MR,TRを認めたため手術目的に当科紹介となる.手術は胸骨正中切開にてアプローチした.人工心肺...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 190 - 192
Main Authors 早川, 真人, 内藤, 志歩, 木下, 武, 畔柳, 智司, 高島, 範之, 鈴木, 友彰, 浅井, 徹, 乃田, 浩光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2013
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.42.190

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Summary:大動脈四尖弁は非常に稀な疾患であり,その発生頻度は剖検例の検討で0.008~0.033%,また大動脈弁置換術症例の検討では0.85~1.46%と報告されている.今回われわれは大動脈四尖弁による大動脈閉鎖不全症(AR)に僧帽弁閉鎖不全症(MR),三尖弁閉鎖不全症(TR)を合併した1症例を経験したので報告する.症例は66歳男性.5年ほど前より呼吸苦を認めるようになり,同時期に心不全にて入院加療となる.いったん軽快するも再度呼吸苦が出現し,心不全の増悪にて再入院した.薬物療法でも改善を認めず,精査にてAR,MR,TRを認めたため手術目的に当科紹介となる.手術は胸骨正中切開にてアプローチした.人工心肺を確立,完全体外循環とした後,まず僧帽弁形成術を行った.次に大動脈に切開を加え大動脈弁を確認すると,右冠尖と左冠尖の間に過剰弁尖のある4尖弁であった.弁尖,弁輪に石灰化も認めた.特に冠動脈入口部異常などは認めなかった.弁尖を切除し,生体弁にて大動脈弁置換術を施行した.最後に三尖弁形成術を行った.術後経過は良好であり20日目に退院となった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.42.190