乳び腹水に対してオクトレオチド投与が有効であった子宮頸癌,肝細胞癌合併C型肝硬変の1例

症例は77歳,女性.60歳時にC型慢性肝炎と診断された.69歳時に子宮頸癌を合併し,放射線療法にて加療された.70歳時より肝細胞癌を合併し,ラジオ波焼灼,エタノール注入,肝動脈化学塞栓療法にて計9回加療されたが完治せず,74歳時に子宮頸癌肺転移を認めたため,支持緩和療法中であった.腹部膨満感が増悪し当科へ入院した.腹水は乳び様であり,腹水中のTGが506 mg/dlであったことから乳び腹水と診断した.脂肪制限食に加え,オクトレオチドの持続皮下注療法を開始した.腹部膨満感は徐々に軽減し,腹水検査では黄色透明の腹水が採取されるまで回復した.計2回のオクトレオチド治療を行い,腹部膨満感はほぼ消失した...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 4; pp. 284 - 290
Main Authors 齊藤, 博美, 城下, 智, 吉澤, 要, 藤森, 芳史, 丸山, 康弘, 伊藤, 哲也, 児玉, 亮, 横沢, 秀一, 小松, 通治, 梅村, 武司, 田中, 榮司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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Summary:症例は77歳,女性.60歳時にC型慢性肝炎と診断された.69歳時に子宮頸癌を合併し,放射線療法にて加療された.70歳時より肝細胞癌を合併し,ラジオ波焼灼,エタノール注入,肝動脈化学塞栓療法にて計9回加療されたが完治せず,74歳時に子宮頸癌肺転移を認めたため,支持緩和療法中であった.腹部膨満感が増悪し当科へ入院した.腹水は乳び様であり,腹水中のTGが506 mg/dlであったことから乳び腹水と診断した.脂肪制限食に加え,オクトレオチドの持続皮下注療法を開始した.腹部膨満感は徐々に軽減し,腹水検査では黄色透明の腹水が採取されるまで回復した.計2回のオクトレオチド治療を行い,腹部膨満感はほぼ消失したので第44病日に転院した.乳び腹水は,低栄養の進行など全身状態が増悪する可能性があるため適切な治療が必要である.本症例ではオクトレオチドによる保存的治療が有効であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.284