先天性胸筋欠損症患側に発症した乳癌の1例

症例は50歳,女性.左乳房腫瘤の増大を主訴に近医を受診した.左DC区域に最大径25mmの腫瘤を認め,精査の結果,T2N0M0,Stage IIAの乳癌と診断した.また,患側の大胸筋,小胸筋の欠損を認め,先天性胸筋欠損症を伴っていた.術前薬物療法を先行し,画像上腫瘍の縮小を認め,左乳房切除術とセンチネルリンパ節生検術を施行した.乳房を切除すると大胸筋(胸肋部,腹部),小胸筋はなく,肋骨,肋間筋,前鋸筋が露出したが,通常通り安全に手術を終え,経過も問題なく第6病日に退院となった.病理学的に癌の遺残は見られなかった.先天性胸筋欠損症は約20,000人に1例の割合で発症すると言われている.今回われわれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 8; pp. 1476 - 1481
Main Authors 仁科, 盛之, 松嵜, 正實, 多田, 寛, 小野寺, 雄二, 川村, 博司, 平井, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1476

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Summary:症例は50歳,女性.左乳房腫瘤の増大を主訴に近医を受診した.左DC区域に最大径25mmの腫瘤を認め,精査の結果,T2N0M0,Stage IIAの乳癌と診断した.また,患側の大胸筋,小胸筋の欠損を認め,先天性胸筋欠損症を伴っていた.術前薬物療法を先行し,画像上腫瘍の縮小を認め,左乳房切除術とセンチネルリンパ節生検術を施行した.乳房を切除すると大胸筋(胸肋部,腹部),小胸筋はなく,肋骨,肋間筋,前鋸筋が露出したが,通常通り安全に手術を終え,経過も問題なく第6病日に退院となった.病理学的に癌の遺残は見られなかった.先天性胸筋欠損症は約20,000人に1例の割合で発症すると言われている.今回われわれは,その患側に乳癌が発症した極めて稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1476