コレステロール塞栓症による小腸多発穿孔の1例

コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization:CCE)は血管内粥腫の破綻, 飛散による稀な全身性塞栓症である.症例:77歳,男性.腹部激痛があり当院搬送.腹膜刺激症状を認め,CT上free airと腹水を認め消化管穿孔の診断で緊急手術となった.小腸3箇所に穿孔部を認め小腸部分切除施行.病理組織所見でCCEによる小腸多発潰瘍穿孔の診断.術後3日目に胃管より黒色排液があり,上部消化管内視鏡にて胃・十二指腸にも多発潰瘍を認めた.術後4日目にドレーンより腸液様排液があり小腸再穿孔が疑われたが,術後より意識障害と痙攣重積があり,頭部CTで多発脳梗塞が確認されてい...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 1877 - 1881
Main Authors 内田, 雄一郎, 山口, 和盛, 伊藤, 雅, 九十九, 悠太, 河本, 和幸, 小笠原, 敬三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1877

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Summary:コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization:CCE)は血管内粥腫の破綻, 飛散による稀な全身性塞栓症である.症例:77歳,男性.腹部激痛があり当院搬送.腹膜刺激症状を認め,CT上free airと腹水を認め消化管穿孔の診断で緊急手術となった.小腸3箇所に穿孔部を認め小腸部分切除施行.病理組織所見でCCEによる小腸多発潰瘍穿孔の診断.術後3日目に胃管より黒色排液があり,上部消化管内視鏡にて胃・十二指腸にも多発潰瘍を認めた.術後4日目にドレーンより腸液様排液があり小腸再穿孔が疑われたが,術後より意識障害と痙攣重積があり,頭部CTで多発脳梗塞が確認されていたため再開腹術は断念し,術後8日目に死亡した.CCEの症状は,腎機能障害・皮膚症状・消化管症状などがあるが消化管穿孔に至ることは稀である.CCEによる消化管穿孔について過去の症例を踏まえ報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1877