休日夜間救急外来を受診した鼻出血症例の神経調節性失神の検討

耳鼻咽喉科の休日夜間救急外来において鼻出血症は比較的頻度の高い疾患である。また,鼻出血症例の来院・診察・処置という一連の過程の中で迷走神経刺激症状をきたす神経調節性失神(Neurally Mediated Syncope: NMS)を起こす症例は多い。NMS出現は多くの場合1人で当直している耳鼻咽喉科医にとって多大な負担となり止血処置の妨げともなる。今回我々は,鼻出血とNMSの関連性について来院時バイタルサインなどの臨床的特徴からNMS出現が予め予測できないかと考え検討した。対象は2017年4月から2018年3月までに当院救急外来に鼻出血を主訴に来院した230例である。一般的臨床統計を行うと共...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 58; no. 4; pp. 712 - 718
Main Authors 中村, 一博, 山内, 由紀, 永田, 善之, 大島, 猛史, 釜谷, まりん, 野村, 泰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2019
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.58.712

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Summary:耳鼻咽喉科の休日夜間救急外来において鼻出血症は比較的頻度の高い疾患である。また,鼻出血症例の来院・診察・処置という一連の過程の中で迷走神経刺激症状をきたす神経調節性失神(Neurally Mediated Syncope: NMS)を起こす症例は多い。NMS出現は多くの場合1人で当直している耳鼻咽喉科医にとって多大な負担となり止血処置の妨げともなる。今回我々は,鼻出血とNMSの関連性について来院時バイタルサインなどの臨床的特徴からNMS出現が予め予測できないかと考え検討した。対象は2017年4月から2018年3月までに当院救急外来に鼻出血を主訴に来院した230例である。一般的臨床統計を行うと共に,その中で救急車で来院した134症例を抽出し年齢,性別,既往歴,来院時収縮期・拡張期血圧,来院時心拍数をNMS群と無失神群の2群にわけて比較検討した。NMS群では収縮期血圧が有意に低下していた。鼻出血症例は来院時高血圧であることが多いとされているが,来院時低血圧はNMS出現の予測因子である。来院時低血圧の患者ではNMSが起こることを念頭におき,バイタルサインを安定させてから止血処置を開始することが重要である。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.58.712