非 Marfan 症候群に発症した Stanford A 型慢性胸部大動脈4腔解離の1手術例

大動脈4腔解離の報告は少なく,非常に稀であるが,破裂の危険性は高いと考えられている.症例は70歳,女性.Marfan症候群を指摘されていない.他疾患の精査目的に撮影されたCTにて最大径68 mmの上行大動脈瘤を認めた.造影CTでは偽腔開存型のStanford A型の4腔解離を認め当科に紹介となった.発症時期は不明であるも,サイズや形態から破裂の危険性は高いと考えられ,手術予定となった.手術は超低体温循環停止下に上行大動脈人工血管置換術を行った.右心不全のため,人工心肺離脱が困難で右冠動脈へのバイパスを追加したが,それでも離脱が困難であり経皮的人工心肺(PCPS)サポート下に手術を終了した.術後...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 47; no. 4; pp. 183 - 186
Main Authors 力武, 一久, 古賀, 佑一, 三保, 貴裕, 陣内, 宏紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2018
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.47.183

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Summary:大動脈4腔解離の報告は少なく,非常に稀であるが,破裂の危険性は高いと考えられている.症例は70歳,女性.Marfan症候群を指摘されていない.他疾患の精査目的に撮影されたCTにて最大径68 mmの上行大動脈瘤を認めた.造影CTでは偽腔開存型のStanford A型の4腔解離を認め当科に紹介となった.発症時期は不明であるも,サイズや形態から破裂の危険性は高いと考えられ,手術予定となった.手術は超低体温循環停止下に上行大動脈人工血管置換術を行った.右心不全のため,人工心肺離脱が困難で右冠動脈へのバイパスを追加したが,それでも離脱が困難であり経皮的人工心肺(PCPS)サポート下に手術を終了した.術後3日目にPCPSを離脱した.その後は特に大きな異常なく,術後56日で退院となった.動脈瘤の病理組織では硝子化を伴った粥状硬化のみられる組織で,嚢胞状中膜変性の所見はなかった.4腔解離は非常に稀であるが,破裂のリスクは高く,早期の手術介入が必要と考えられた.今回われわれは,非Marfan症候群の4腔解離の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.47.183