腹腔鏡下にTAPP法で修復した白線ヘルニアの1例

症例は70歳,女性.食後に急激な右上腹部痛を認め,当院を受診した.右上腹部に手拳大の圧痛を伴う膨隆を認めた.腹部造影CTで上腹部正中の白線に直径2.5cmの裂孔を認め,同部より胃と大網が脱出しており,白線ヘルニア嵌頓と診断した.用手的に整復できたため,待期的に腹腔鏡下手術を施行した.上腹部正中に15×25mmのヘルニア門を認め,transabdominal preperitoneal approach (以下,TAPP法)に準じてメッシュを腹膜前腔に留置し,修復した.白線ヘルニアに対する腹腔鏡下手術の報告例の多くが腹腔内にメッシュを留置している.しかし,腹腔内へのメッシュ留置に関しては,腸管穿...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1927 - 1931
Main Authors 早川, 哲史, 野々山, 敬介, 北上, 英彦, 山本, 稔, 田中, 守嗣, 高嶋, 伸宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1927

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Summary:症例は70歳,女性.食後に急激な右上腹部痛を認め,当院を受診した.右上腹部に手拳大の圧痛を伴う膨隆を認めた.腹部造影CTで上腹部正中の白線に直径2.5cmの裂孔を認め,同部より胃と大網が脱出しており,白線ヘルニア嵌頓と診断した.用手的に整復できたため,待期的に腹腔鏡下手術を施行した.上腹部正中に15×25mmのヘルニア門を認め,transabdominal preperitoneal approach (以下,TAPP法)に準じてメッシュを腹膜前腔に留置し,修復した.白線ヘルニアに対する腹腔鏡下手術の報告例の多くが腹腔内にメッシュを留置している.しかし,腹腔内へのメッシュ留置に関しては,腸管穿通や腸閉塞などの合併症が報告され始めており,安全性については議論がある.今回われわれは,TAPP法に準じて腹腔鏡下に修復しえた白線ヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1927